お兄ちゃんパピヨン犬

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あの日から・・・
ぼくちゃん(お兄ちゃんパピヨン犬)が虹の橋に旅立ってから、
家族の心の中に ぽっかり大きな穴が あいてしまいました。

とりわけ ママの心の穴は大きくて。。。
たっちゃんやチエが慰めてくれても、
どんどん どんどん ママの心は寂しいで一杯になり、
ぼくちゃんのことを考える毎日。

ご飯を食べようとすると、
ぼくちゃんが膝に頭をのせ ジーっと待ってる姿が浮かぶ。

病気になってからは ぼくちゃんが少しでも不安がらないよう、
からだ全部で包み込み 眠った日々。

旅立ってしまってから 抱え込む腕の中に出来た空間が・・・
抱きしめたくても 抱きしめられない思いで 一杯になる。

ペットレス症候群。
あの時 ママを診てくれた先生から告げられた病名。

お薬を処方してもらっても・・・
ご飯は喉を通らず、眠れない夜を迎えるのが辛かった。

そんなママに先生は言った。
「もう一度ワンちゃんを飼ってはいかがですか?」

でも、虹の橋に旅立った ぼくちゃんの事を考えると
裏切ってしまうようで・・・
悲しませてしまうようで・・・

それに、「もう こんなに悲しい思いはしたくない」
という気持ちがあった。

気持ちが落ちつかない日々が続き、
チエのパパの眠るお墓を訪ねては
ぼくちゃんの思い出話を聞いてもらっていた。

お墓の最寄り駅にはペットショップがあった。
よく ワンちゃん達に会いに行ったね。
ぼくちゃんに お土産買ったよね。

でも、ぼくちゃんが旅立ってしまってからは
可愛いワンちゃん達を見ると より辛くなってしまう気がして、
すっかり足が遠のいていた。

そんなある日 いつもの帰り道、
チエが急に言ったのよね?

「ワンちゃんに会いに行かない?」

「え?」 とまどう私に

「私が最後に ぼくちゃんに言った言葉 おぼえてる?
もう一度 うちの子に産まれておいで!って約束したの」

そうチエは、
私の腕の中で徐々に意識が遠のいていく ぼくちゃんの耳元で
何度も 何度も言ってたね。

「ぼくちゃん ありがとう!
よく頑張ったね! でも・・・もう楽になっていいんだよ。
そのかわり また うちの子として産まれてくるんだよ!」

そう繰り返し 繰り返し 話しかけてたね。

「ねえ~ママ。
もし 我が家にまた 天使が来るとしたら・・・
それは 私たちが選ぶというより運命なんじゃない?」
チエが空を見上げ言った。

「運命の出会いがあるのか ないのか・・・
それが いつなのか・・
それは 今は全くわからない。
だから 今は考えすぎずに 自然でいることが大事かも?」

チエに言われて 何かがフワ~っと溶けだした気がした。

「ワンちゃん達に 久々に会いたいね・・・」
私は そう答えていた。

お店の入り口で一瞬、緊張が走る。
でも開いたドアの先には・・・

あどけない顔やしぐさの子犬や子猫ちゃんが迎えてくれた。
温かい気持ちで心が満たされ 癒される。

「あ!パピヨンちゃんだ!」

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チエの言葉の先に視線を動かすと、
そこには可愛らしいパピヨンちゃんが チョコンと座っていた。

家族が決まりました!
パピヨンちゃんのケージに貼られた紙を見て

「良かったね~幸せになるんだよ!」と
チエが笑顔で話しかける。

その様子を見て 店員さんが話しかけてくださり、
ぼくちゃんのことを、優しく とても丁寧に聞いてくださった。

ワンちゃん達の お顔を見ていて
ぼくちゃんを思い出し、悲しく感じるより・・・
お店を出た私達は、久々に優しい気持ちで包まれていた。

それから1週間後に電話が鳴った。

「ぼくちゃんに似ている子がいるので
明後日5月24日に、お見合いしませんか?」

ぼくちゃんの写メをみていた店員さんが
系列店にいる子をみて、似ているのにビックリして
連絡をして下さったとのこと。

「どうしようか?」
ママがチエに聞いた。

「会うだけ会ってみようか?」
チエが答えた。

その後すぐ ボクのいるお店の電話がなった。
その時のボクの様子を綴っています。

5年前の5月22日の できごとでした。

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18才の誕生日から1週間。
食欲も出てきて、嘔吐や下痢の回数も減り、体調が落ち着いていた。

奇跡が起こったのではないか?
そう信じたい気持ちが家族にあった。

「少し落ち着いてるから、点滴は一日おきにしましょう」
この2ヶ月近く、毎日通っていた病院の帰り道・・・

お兄ちゃんを抱えて帰るママとチエの足取りがいつもと少し違う。

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ずっと眺める余裕もなく往復してた風景。
街路樹の桜の木には桜の花が・・・

「今年も一緒に いっぱい桜を見ようね」
腕の中で静かな寝息をたてていた身体がピクリとし、クンクンと空を仰いだ。

誕生日から1週間・・・
久々に家族に訪れた穏やかな時間。

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家族に残された記憶が辛く悲しいものではなく、
優しい時間となったのは、
きっとお兄ちゃんからの最期の贈り物だったのね。

お兄ちゃんパピヨンは2009年3月27日に
虹の橋へと旅立ちました。

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2009年3月18日。
最近めっきり食欲が落ち、
ここ数日は少量の水以外、殆ど口にしなくなっていた。

大好きなチーズケーキを手に
ママとチエがハッピーバースディーを歌った。

今日は、お兄ちゃんの18才の誕生日だった。

殆ど聞こえなくなった耳に届いてるのだろうか?
殆ど見えなくなった目に映ってるのだろうか?
殆ど動かさなくなった鼻は感じてるのだろうか?

分かっていなくてもいい・・・
どんな状況でも誕生日を祝ってあげたい家族の気持ちだった。

次の瞬間、ママもチエも目をみはった。
顔だけをどうにか持ち上げ、目の前に差し出されたケーキにパクリしたのだ。

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聞こえなくても、見えなくても、匂いを感じなくても・・・
家族の思いが届いた瞬間。

お兄ちゃんから、家族への誕生日プレゼント。

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2009年1月末日
病気の再発。

もう治療の選択肢はなかった。
少しずつ食が細くなり、少しずつ・・・
でも確実に衰弱していった。

ママとチエは毎日毎日、お兄ちゃんを抱えて点滴に連れて行った。
休みの日は、たっちゃんが車で連れて行った。

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今年の桜も一緒にみたい!
家族皆が、その思いだけだった。

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花の名前のベットショップにきて一週間。
あの頃で残ってるのは、優しいお兄さんの記憶と、
もらったオモチャ。
真ん中を噛むとピーって鳴るんだ。

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プルプル~。
ある日、お店の電話が鳴った。

そして、お兄さんがボクのとこに来て優しい声で言ったんだ。
「今度の土曜日、お見合いだ!
家族が出来るかもしれないよ。」

お兄さんが嬉しそうだったから、
ボクも嬉しい気持ちになったんだ。

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そのちょっと前、ボクのかぞくの家でも電話が鳴った。

「今度の土曜日に、パピヨンちゃんとお見合いしませんか?って、どうする?」
ママがチエに聞いた。

「会うだけ会ってみようか」チエが言った。

言いながら、この数カ月の事を思い起こしていた。
ずっと一緒にいた愛犬の病気が見つかったのが、チエの誕生日。

17才という高齢での、麻酔を伴う手術に家族は悩んだ。
悩んだ末、少しでも長く一緒にいられる可能性に家族は望みをかけた。

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家族の思いが通じ、手術は成功した。
これで大丈夫!
家族の誰もが、その時はそう思った・・・。

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