Author Archives: ボク

18才の誕生日から1週間。
食欲も出てきて、嘔吐や下痢の回数も減り、体調が落ち着いていた。

奇跡が起こったのではないか?
そう信じたい気持ちが家族にあった。

「少し落ち着いてるから、点滴は一日おきにしましょう」
この2ヶ月近く、毎日通っていた病院の帰り道・・・

お兄ちゃんを抱えて帰るママとチエの足取りがいつもと少し違う。

634

ずっと眺める余裕もなく往復してた風景。
街路樹の桜の木には桜の花が・・・

「今年も一緒に いっぱい桜を見ようね」
腕の中で静かな寝息をたてていた身体がピクリとし、クンクンと空を仰いだ。

誕生日から1週間・・・
久々に家族に訪れた穏やかな時間。

633

家族に残された記憶が辛く悲しいものではなく、
優しい時間となったのは、
きっとお兄ちゃんからの最期の贈り物だったのね。

お兄ちゃんパピヨンは2009年3月27日に
虹の橋へと旅立ちました。

にほんブログ村 犬ブログ パピヨンへ
にほんブログ村

2009年3月18日。
最近めっきり食欲が落ち、
ここ数日は少量の水以外、殆ど口にしなくなっていた。

大好きなチーズケーキを手に
ママとチエがハッピーバースディーを歌った。

今日は、お兄ちゃんの18才の誕生日だった。

殆ど聞こえなくなった耳に届いてるのだろうか?
殆ど見えなくなった目に映ってるのだろうか?
殆ど動かさなくなった鼻は感じてるのだろうか?

分かっていなくてもいい・・・
どんな状況でも誕生日を祝ってあげたい家族の気持ちだった。

次の瞬間、ママもチエも目をみはった。
顔だけをどうにか持ち上げ、目の前に差し出されたケーキにパクリしたのだ。

画像 158

聞こえなくても、見えなくても、匂いを感じなくても・・・
家族の思いが届いた瞬間。

お兄ちゃんから、家族への誕生日プレゼント。

にほんブログ村 犬ブログ パピヨンへ
にほんブログ村

2009年1月末日
病気の再発。

もう治療の選択肢はなかった。
少しずつ食が細くなり、少しずつ・・・
でも確実に衰弱していった。

ママとチエは毎日毎日、お兄ちゃんを抱えて点滴に連れて行った。
休みの日は、たっちゃんが車で連れて行った。

633

今年の桜も一緒にみたい!
家族皆が、その思いだけだった。

にほんブログ村 犬ブログ パピヨンへ
にほんブログ村

花の名前のベットショップにきて一週間。
あの頃で残ってるのは、優しいお兄さんの記憶と、
もらったオモチャ。
真ん中を噛むとピーって鳴るんだ。

画像 375

プルプル~。
ある日、お店の電話が鳴った。

そして、お兄さんがボクのとこに来て優しい声で言ったんだ。
「今度の土曜日、お見合いだ!
家族が出来るかもしれないよ。」

お兄さんが嬉しそうだったから、
ボクも嬉しい気持ちになったんだ。

画像 364

そのちょっと前、ボクのかぞくの家でも電話が鳴った。

「今度の土曜日に、パピヨンちゃんとお見合いしませんか?って、どうする?」
ママがチエに聞いた。

「会うだけ会ってみようか」チエが言った。

言いながら、この数カ月の事を思い起こしていた。
ずっと一緒にいた愛犬の病気が見つかったのが、チエの誕生日。

17才という高齢での、麻酔を伴う手術に家族は悩んだ。
悩んだ末、少しでも長く一緒にいられる可能性に家族は望みをかけた。

008

家族の思いが通じ、手術は成功した。
これで大丈夫!
家族の誰もが、その時はそう思った・・・。

にほんブログ村 犬ブログ パピヨンへ
にほんブログ村

これから登場するパピヨン家ボクの家族を軽~く紹介します。

「たっちゃん」我が家のボス。
「チエ」たっちゃんのお嫁さん。
実は裏ボス!

「ママ」チエのお母さん。
ボクにとってボスであり家来?

皆の性格とかは…
ボクの日記を読んでもらえたら
徐々に分かってもらえるかなと思います。

あ!あとカメが2匹います!
カッちゃん18才 チビちゃん17才

641

性別は多分、男の子と女の子?
ボクは一緒に遊んだことはないけど
リビングで気持ち良く泳いでる2匹の姿を見ると
暑い夏は羨ましく思うよ。

642

前にボクが挨拶しようと顔を近づけたら
カッちゃんが凄い勢で逃げてバタバタ暴れて大変だったんだよ。

小さかった頃、カッちゃんには脱走癖があり・・・
ある日脱走したところを
お兄ちゃんパピヨンが見つけた。

「チエ見て~」と満面の笑みのお兄ちゃん。
口元には、手足、顔、しっぽまでも完全に甲羅に隠し
岩のようになってるカッちゃん・・・

最悪の状況になる前に取らないと…

「ちょうだい!」
チエが手を差し出すと、お兄ちゃんの本能が働いた。

「ヤダ!これ僕の~!」
カッちゃんをくわえたまま走り出した。

見て確認した範囲では、カッちゃんの生死は不明・・・

早くどうにかしないと・・・

「ビスケ ハウス!」
お兄ちゃんはカッちゃんを離し、ハウスに入った。

これはチエがボクにも教えたコマンド!物々交換。

恐る恐るカッちゃんを手にしたがピクリともしない・・・

とっさにチエは洗面台に連れて行き、水を流しかけた。
それでもピクリともしない。

生きてるのか?しんでるのか?
運を天に任せ水槽に入れておくこと一時間。

ようやく危機が過ぎたのを確信したのかカッちゃんが顔を出した。

638

あれから15年・・・

カッちゃんのトラウマになってるのは間違いないようです。
だからボクは遠くから眺めてるだけなんだ。

 

203

にほんブログ村 犬ブログ パピヨンへ
にほんブログ村